比叡山延暦寺(大津市)の「ちゃん塗り」と現代の屋根塗装
比叡山延暦寺(大津市)の「ちゃん塗り」と現代の屋根塗装
古くから、屋根を保護し、美観を維持するために、さまざまな塗装技術が用いられてきました。
今回は、比叡山延暦寺の保存修理で採用された伝統的な「ちゃん塗り」を紹介するとともに、現代の住宅に使われる屋根材の塗装について解説します。

根本中堂の屋根に「ちゃん塗り」
比叡山延暦寺(滋賀県大津市)の根本中堂では、保存修理に伴い、銅板屋根に「ちゃん塗」と呼ばれる伝統的な塗装が施されています。
延暦寺や滋賀県の公表資料によると、修理前の調査で江戸時代の銅板から黒い塗料の痕跡が発見され、当時の姿を復元するために採用されたものです。
ちゃん塗りとは
「ちゃん塗り」は、松やにや植物油などを用いた日本の伝統的な塗装技法です。
塗膜に柔軟性があり、銅板などの金属を保護する用途にも使われてきました。近代以降は化学塗料の普及により使用される機会が減りましたが、文化財の保存修理などで受け継がれています。
参考:ハリマ化成グループ「出雲大社『平成の大遷宮』で約120年ぶりに復活した『ちゃん塗り』の技術」
金属(ガルバリウム鋼板など)への屋根塗装
現代の金属屋根も、表面の塗膜が経年劣化するため、状態に応じて塗り替えが必要になります。
スーパーガルテクトなどを製造するアイジー工業株式会社では、16年目前後、20数年後、30数年後を塗り替えの目安としたメンテナンススケジュールを公表しています。
ただし、これはモデルケースであり、実際の塗り替え時期は、色あせや白亜化(表面が粉状になる現象)、さびなどの状態を確認して判断します。

カラーベストへの屋根塗装
化粧スレート屋根材の一種であるコロニアルクァッドの場合、メーカーは10年目前後、20年目前後、30年目前後に点検やメンテナンスを行うモデルケースを示しています。
塗り替えについては「美観上必要に応じて」とされており、必ずしも定期的な塗装が必要というわけではありません。
また、屋根塗装によって、傷んだ屋根材の強度や屋根全体の防水性能が回復するわけではありません。
ひび割れや欠損などが生じている場合は、塗装とは別に適切な補修が必要です。

屋根塗装とカバー工法
カラーベストを使用した一般住宅では、屋根の状態や今後の維持管理費用を踏まえ、カバー工法をお勧めする場合があります。
カバー工法は、既存の屋根を撤去せず、その上から新しい屋根材を重ねる工法です。
塗装とは異なり、新しい屋根材と防水シートで屋根を覆うため、屋根全体の防水性能を確保し直すことができます。
ただし、屋根の下地が著しく傷んでいる場合などは施工できないため、既存屋根の状態を確認したうえで、塗装・カバー工法・葺き替えのいずれが適切かを判断することが重要です。




